5章 懐かしき光の大地

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 レイスが絶叫した。同時に光の裂け目に向かって、ヴァルディースは飛んだ。  闇が弾けた。燦々と降り注ぐ太陽の光に目が眩んだ。  眼下で光の剣に刺し貫かれたロゴスが灰となって散っていく。闇がメルディエルの大地から晴れていく。  闇から抜け出す間際に、レイスがグライルの名を叫んでいた。果たして本人に届いたかどうかはわからない。  レイスが起きるまで持たせてみせると言ったあの男の言葉には、何の偽りもなかった。グライルはこうなることも全て承知の上で、ザフォルのあんな無謀な話に乗ったのだ。  グライルを罵りたかった。あんな最期を見せつけられたら、勝ち逃げのようなものではないか。 「馬鹿野郎が」  ひどく悔しかった。  腕の中ではレイスが顔を覆い、声を押し殺して震えている。レイスの悲痛な心が、ヴァルディースにも流れこんでくる。  こんな時、どう接してやればいいのか、ヴァルディースにはわからない。闇に取り込まれるということは、人間の言う死とは違う。けれど、レイスにとってはきっと同じようなもののはずだ。  頬を寄せ、頭を撫で、そっと口付ける。その程度で、レイスがグライルを再び失った悲しみを埋めることができるとは思えない。     
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