エピローグ

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 メイスがそう告げた。風の大陸とも呼ばれるフォルマンの大地は、草原を駆け抜ける精霊がとても多い。ファラムーアのせいでいっときは亀裂が入っていた精霊たちとの関係も、これから修復していかなければいけない。 「いつでも頼ってこい。レイスもいるしな」 「……おまえ、おれの複雑な親心を簡単に抉ってくるよな」  そのメイスの台詞にヴァルディースは首を傾げた。今まで精霊長の中で一番若かったヴァルディースとしては、メイスはファラムーアの後継というのもあって弟のような感覚になってしまう。それが何かまずかっただろうか。  二人で向き合っていると、傍らでユイスが笑い出し、バツの悪そうにメイスが顔を背けた。 「父さんはレイをヴァルディースさんにとられて寂しいんだよ。娘を嫁に出した父親の気分みたいなものらしいから」 「レイスは息子だろう?」  さらに首をひねると、今度はユイスが苦笑いをする。ヴァルディースにはやはり、まだレイス以外の人間の感覚というのがよくわからない。 「ところでヴァルディースさんたちはこれからどうするんですか?」 「とりあえず俺の棲家にレイスを連れて行かないとだな。他の炎精たちがうるさくてかなわん。そのあとはどうするか」  ユイスはもう一度メルディエルに戻るだろう。フェイシスの棲家があの辺りだ。     
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