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ヴァルディースは絶叫した。
館中に響くほどの大音で叫んだ。壁がたわみ、水槽のガラスが激しく振動した。
ヴァルディースの炎が荒れ狂い、周囲の物を焼き、破壊する。炎はまたヴァルディースの体をも包み込み、自らの炎で自らを焼き滅ぼそうとした。
それは激しい後悔であり自分自身への強い憎しみだった。ユイスは死んだ。なぜか。自分が接触してしまったからだ。自分が存在したからだ。自分があいつと会いたいと願ってしまったからだ。それが最悪の形で、ガルグに弄ばれるという結末を招いた。自分がこの手で、ユイスを殺した。
無我夢中でヴァルディースは自分の体に爪を立て、肉を割き、己の体に流れる血肉を炎で焼き尽くそうとした。体の中で炎が燃え上がり、肉が焼ける痛みにのたうちまわろうとした。ヴァルディースは罰されたかった。罪を憎み、滅びという贖いをしたかった。けれど、どれほど感情を暴走させても、望むものは訪れなかった。
ヴァルディースの体はヴァルディースの炎では滅ぼすことなどできるわけもなかった。ヴァルディースは唸った。なぜだと叫んだ。なぜ自分だけは死ぬことができないのだと呪った。ガルグのせいか。呪われた自分のせいか。
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