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二人でエレベーターを降りて社内に向かう。
「さっきから胸を押さえて苦しいの?」
「いえ・・・あ」
「少し顔色悪いよ。お手洗い行って来たら?」
「だ、大丈夫です・・・」
プリンス様は私の腕を掴んで引き留めた。
「ちょっといいかな?」
「えっ!?でも・・・」
それでなくても休憩時間はとっくに過ぎて、就業時間が始まっている。プリンス様は誰も居ない共有スペースの休憩フロアに私を連れ出した。
「やっぱり…俺と君は何処かで会ってる」
彼は私を壁際に追いつめ、両腕で囲んで間近に顔を近づけて来る。
彼の熱い吐息が私の頬に掠めた。このまま、キスされてしまいそうな恋人の距離に心臓が高鳴る。そして、右手を伸ばして、私の眼鏡を奪った。
ド近眼の私の瞳には彼の顔が霞んでしまい、誰か分からなくなる。
彼のこだわりは半端じゃない。
「さっきから君を見てるとドキドキするんだ。ずっと食事をしてる時からそう思っていた。どうしてなのか…自分でも分からない」
「えっ!?」
私の心臓はドキドキと言うよりも今度はバクバクし始めた。
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