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~愛名side~
悪阻の時期も過ぎて、妊娠5ヵ月目に入ると、少しだけ下腹部が膨らんできた。
そして、初めての胎動も感じた。
「私にも手伝わせて…柾貴さん」
柾貴さんは私が妊娠してから、極力外出を要する仕事はセーブした。
家事や料理も彼が率先してこなす。
「大丈夫か?愛名」
「柾貴さん、過保護過ぎますよ」
「だって…愛名は命を育んでいるんだ。無理は禁物だろ?」
「不安定な時期は過ぎたし、大丈夫ですよ」
「じゃ少しだけだからね…疲れたら、ちゃんと俺に言うんだぞ」
「はいはい」
私は彼の洗った食器を布巾で拭いた。
私の妊娠が判明してから、彼は私にまた触れなくなってしまった。
「…妊娠5ヵ月に入って、安定期に入ったから…Hもお腹を圧迫しない体位なら、できると先生が言ってましたよ」
「えっ!?」
彼は洗っていた硝子のグラスをシンクの中に落としてしまった。
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