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規則的なった陣痛を見計らい、俺は愛名を車に乗せて、病院に向かった。
「柾貴さんが居てくれて心強いです・・・」
「何…出産した後も、育児休暇強引に取ったから…そばに居るぞ」
出産し、退院後は里帰りする予定で、俺も同伴する。
稜真の秘書を続けていれば、叶わなかった育児休暇。作家の仕事一本にして良かったと思った。
******
しかし、まだまだ分娩台には上がらせてもらえず、待機室のベットで俺と愛名は待っていた。
愛名は俺を心配させないと何も言わず、陣痛に耐える。
「痛い時は痛いと言えば、いいんだぞ。愛名」
俺は彼女の表情を見て、陣痛が来たかどうか判断して、腰を摩った。
「ありがとう…柾貴さん」
感謝の気持ちを忘れない愛名を心から愛しく思う。
「辛いだろ?俺の為にゴメンな・・・」
「・・・赤ちゃんだって・・・お腹の中でこの痛みに耐えていると訊きます。
母である私が我慢しないと」
「そっか・・・赤ちゃんもこの陣痛の痛みを味わっているのか・・・」
父である俺だけが、蚊帳の外だと思うと何とも情けない・・・
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