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最寄り駅に始発が到着する時間になると場所取りは激しさを増す。ブルーシートを広げたまま走る大学生グループを俺は広げたシートの上で寝転びながら眺めていた。いわゆる大人の余裕というやつだ。
朝食用に買っておいた菓子パンを缶コーヒーで流し込んでいると電話が鳴った。ディスプレイに表示された名前に眉をひそめ、仕方なく電話に出るまで数コールかかった。
「お疲れ様。今公園に着いたんだけど、どの辺にいる?」
同期の西野だった。同期は十人いるにも関わらずじゃんけんで負けて俺と二人で早朝の場所取りをするのはよりにもよってほとんど絡んだことのないコイツだった。シートの場所を説明してから五分後、悠々とした足取りでこちらに向って来る西野を見つけて俺は手を上げた。西野はすぐに俺に気が付いた様子だったが、歩くペースをあげようとしない。以前からわかっていたことだが、コイツのマイペース振りに少しイライラした。
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