揺らぎ、沈み、忘れゆく

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揺らぎ、沈み、忘れゆく

 夜が更け眠りに誘われる。  誰かが俺の名を呼んだ。  ――誰だろうか?  知っているはずなのに、顔も名前も深い霧の中へ消えてしまう。  ――ディサンテ、とは誰のことだ?  わからない。けれど、知っているような感覚がある。  俺にはやらなければいけないことが……あったはず。  遥か遠くの記憶は水面で揺れては、沈み込む。  目が覚めたらまた何も覚えていないのだろう。  なのにどうして、夢に何度もみるのか……。    大切な夢で忘れてはならない記憶。  浅き夢で揺らいで見える過去の言葉は、掴めることなく零れ落ちる。  それでもその言葉が蘇るときは、願い祈り思いが叶うときだろう。  そんな予感がした。
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