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甘い夢
「夢の世界はとても甘い世界。だけど現実は、とても苦い世界。」
少女は願いました。毎晩眠りにつき、夢を見る度に、夢の世界に住みたいと。
夢の世界で、少女はお姫様でした。少女の周りには、いつも沢山の友達が居ます。沢山の友達と、毎日お城でパーティーを開き、甘いお菓子を食べていました。
ある日パーティーに、王子様がやって来ました。とても美しい王子様。少女は一目で、王子様に恋をしてしまいました。
それから少女は、眠るのが楽しみで仕方がありません。夢の中だけで会える、王子様。
少女は一日中、眠り続けました。王子様に会う為に。
しかし、いつも王子様と踊ろうとする所で、目が覚めてしまいます。
「どうして王子様と、踊らせてくれないの?」
少女は目を覚ます度に、涙を流しました。いつまで経っても、王子様とは踊れない。こんなにも沢山眠っているのに、王子様と踊ろうとすると、目が覚めてしまう。
「意地悪ばかりするのね・・・現実は・・・。」
少女が目を覚ます所は、いつも暗闇の中でした。真っ暗で光の無い、闇の中。そこは寒くて、とても冷たい所。温もりも無く、笑い声も無く、凍りついた冷たい所。苦い、苦い世界。
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