一日目

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ってよろしいですが?」 彼女は一つ頷くと、伝えてくれた。 それから瑞樹は被害者と顔を合わせると丁寧な謝罪をし、被害金額を渡すと改めて遺憾の意を示した。 女性の撮った写真も確認したが、間違いなかった。 相手は瑞樹の謝罪に満足したのか、もう良いです、と困ったような笑みを浮かべた。 「この子が何処に行くとか言ってませんでしたか?」 「ん……特には言ってなかったです」 「そうですか」 落胆の色が隠せなかったのか彼女は更に困ったような顔をする。 「でも、私が会ったのが夜だったので、また夜の街に現れるかもしれませんよ」 励ます顔が愛らしくて瑞樹は仄かに笑う。 「見つけたら必ずぶちのめしてやるので。もう二度とこんなことのないようにきっちり締め上げますね」 「そんな物騒な。それに夜になんて言いましたけど、この辺は脱獄犯がいて危ないですし」 それは最近新聞で報道しているワイドショーの格好の的であった。5人の囚人が護送車が起こした事故に乗じて手錠を外した上に銃を奪って逃げたとの事だ。 しかし、逃がしてしまったとはいえ日本の警察は優秀だしすぐに捕まるだろう。 目の前の彼女もそう思っているのか、すぐ近くに殺人犯がいるかもしれないという恐怖は薄く目には好奇心が見える。 「今日はありがとうございました」 立ち上がり頭を下げる女性より更に深く瑞樹は頭を下げる。 立ち去る女性を見送ると瑞樹は会計を済ませて同じようにドアをくぐった。 瑞樹はホテル街に入ると歩きながら目当ての場所を探す。安くてフロントの人間と顔を合わさなくていいファッションホテルが理想だ。 物色しながらそれなりにキレイで比較的安いホテルを見つけると瑞樹は入った。 受付を済ませてベッドに横になるとどっと疲れが押し寄せた。ふぅっと息を吐き天井を見上げる。 瑞樹は格子付きの部屋を逃げ出して来た。食事は存外美味しく健康的な生活も送っていたが、閉じ込められていると思えばやはりストレスは溜まる。 たまたま逃げ出せる隙を見つけて逃げてきた。家には金をとりに戻って以来一度も帰宅していない。 すぐに見つかるだろうが其れまでは好きにする。 懐から取り出した銃をライトに輝かせながらじっと見つめた。
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