おクスリキめて、ハイになって

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おクスリキめて、ハイになって

 桜咲かんとする春うららかな今日このごろ。くしゃみがとまらない中やけくそで公園にお散歩するも、やっぱり花粉の魔の手には勝てなかったよ――な私が諦めてベンチで「ぶえっくしょい!」と女子高生にあるまじき文言を発したその瞬間、 「あの……」  と声をかけてきた男がいた。  こんな最低な瞬間に声をかけなくても。  ティッシュで鼻をふきふき私が、 「なんでしょうか? トイレは公園出て右ですよ」  と親切におっぱらうとするも、なかなかどうして必死なご様子。よく見ると髪のふわっとした、美少年から背だけ伸びちゃいましたといういかにもなカックイイ青年じゃないか。そそるー。 「すみません! ここって、何月何に――何年ですか?」  おお! 新手の宗教勧誘か? 珍しいタイプだな。でも美青年を寄越すなんて、見所のある宗教団体じゃないか。今度の選挙で一票入れてやろう。 「2018年の、3月20日よ。大丈夫?」  大丈夫? と聞かれるべきなのは鼻を真っ赤にして鼻水が垂れつつある私であるべきなのだが、一応美青年なので気を遣う。一応ね。  でも本当に頭大丈夫? と聞くべきなのはやはりその美青年だった。私が時間を言うやいなや、     
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