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同じバンドが好きってこともありすぐに意気投合、そして物腰柔らかな雰囲気に、私は居心地の良さを感じていた。
ある日「君塚くんて絶対モテるよね~」とバイト仲間で話していたら、そのうちの一人がこう言い放った。
「椿、知らないの?君塚くんは女子に興味ないんだよ」
どうやら君塚くんの恋愛対象は男性で、特に気にする様子もなく、オープンに話しているらしかった。
「えー、結構色々話してたつもりだけど、初めて知った」
「二人の話っていつも色気ないもんね。好きなバンドの話とか食べ物の話ばっかじゃない?」
「んー、確かに。今まで恋愛の話なんてした事なかったわ」
初耳だったけど不思議と納得し、同時に安堵した。
私には過去に男友達から告白された経験がある。
そしてその時に言いようのない喪失感を味わった。
『もう友達じゃいられない』
友達としては本当に好きだったけど、恋愛感情は全くなく、芽生える気配もなかったから丁重に断った。
そしてその後徐々に気まずくなって、友情に終止符が打たれた。
だから、こんなに気の合う君塚くんとずっと友達でいられると思ったらとても嬉しくて、今まで以上に色々な事を話し、仲良くなった。
うん。
君塚くんなら。
なんて思っていたら。
「つーちゃん。添い寝フレンドって知ってる?」
バイトの休憩中、突然君塚くんが切り出した。
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