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シャワーを浴びてパジャマに着替える。
不思議と自分の家のようにリラックスできている事がおかしい。
えぇと。添い寝だから、同じベッドに寝るんだよね?なんてしばし考え込んでいたら、君塚くんがさっとベッドに潜り込み、掛け布団を半分開けて「おいで」と枕をポンポンした。
その瞬間、不覚にもドキッとしてしまい、それを悟られないよう必死で平静を装う。
「あー眠い眠い」なんて言いながらそっと君塚くんの隣に体を横たえるも、急に恥ずかしくなってきて、仰向けで天井を眺めるしかできない。
でも君塚くんは私の方へ横向きで寝ている。
「つーちゃんて仰向けで寝る派なんだ?」
「えっ?そ、そうなの!」
「あ、電気」
「私、消すよ!」
そうだ、暗くしてしまえば顔を見ずに済む。
慌てて電気を消しに行き、再びベッドへ戻る。
そして『仰向け派』と宣言してしまったので、その設定を朝まで貫く事にした。
「おやすみ」と寝る前の挨拶を交わす。
その瞬間、久しぶりに口にした言葉だという事に気づいた。
実家を離れ、一人暮らしを始めて二年。
その間ずっと「おやすみ」なんて言ってなかったかも。
「僕さ」
暗闇の中で君塚くんの声が響く。
「うん?」
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