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「一人っ子だったから、実は母親と小学校卒業するまで一緒に寝てたんだよね」
「へぇ~、かわいい。お母さんの事大好きだったんだね」
「うん」
沈黙が訪れる。
睡魔が襲って来たのかな。
私もそろそろ、なんて思っていたら。
突然、君塚くんは私の肩に手を伸ばしてきた。
予想だにしない展開に見舞われ、体がこわばる。
どういう事……?
一気に鼓動が早くなる。
もしかして女子に興味ないっていうのは嘘だったの!?
そんな疑いを持ち始めていた時かすかに聞こえてきたのは。
君塚くんの嗚咽───。
えっ、泣いてる……?
「き、君塚くん?どうしたの?」
いつも笑顔で明るい君塚くんなのに。こんな姿初めてだ。
「……先週、母さんの葬儀だったんだ」
独り言のようにそっと呟いた。
「う、うん……」
私は静かに頷く。
「突然で……。別れの挨拶もできなくて……こっちに帰って来てから夜になると色々考えちゃって……」
「うん」
「死にたい気持ちになる時もあったんだ。そしたらそんな事考える自分が怖くなって。眠れなくて……」
「そうだったんだ」
「うっ……うぅ……ごめん。こんな、泣くつもりなんてなかったのに」
「大丈夫、泣いていいよ」
そう言うと一気に暗闇に泣き声が響き渡った。
そして私は自然と君塚くんと向き合っていた。
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