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染井と吉野
★★★
ある村のお寺には立派な桜の木が2本並んでいる。
見事なその桜の片方は、大昔に高名な尼僧が桜に姿を変えたものだと言われていた。
尼僧は、修行のために元々あった1本の桜の木の横に立ち読経をし続けた。
次第にその足は大地に根を張り、姿は木のようになっていった。
最初は禅問答にも答えを返し、読経も続けていたそうだが、その声はだんだんと小さくなり数年後には完全に桜の木になったそうだ。
この2本は今でも春になると目を見張るような美しい桜を咲かせて私たちを楽しませてくれる。
★★★
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