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桜豪雪の日に
ついに俺は通り道のコンビニで傘を買った。
家を出たときにはなんてことなかったのに、道を歩ているとどこからか、桜の花びらが降り始めた。
ゆるやかな風に乗って、どこかから飛んできているのかと、最初は暢気に眺めていたが、それは次第に勢いを増し、舞う花びらで一寸先がかすむほどの、豪雪に変わっていた。
こういうのは、ひとひらふたひらと眺めるから、風情があるものであって、こうなるともう鬱陶しいものでしかない。
払っても払っても服に纏わりつく花びらに耐えかねて、コンビニに駆け込んだというわけだ。
本来ならば、手ぶらで丁度いい日和のはずなのに。一体どういう天気なのか。
予定外の出費が書かれたレシートを握りつぶしてポケットに追いやると、俺はだらだらと歩き始めた。
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