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「……これは?」
僕は自分の鼻を使い、その『瓶』の中身の匂いを確認したが、特に特徴的な匂いもなく……というより何も匂いがしなかった。
「ん? コレは、『ココナッツオイル』だよ。ちなみにコレは『無味無臭』のモノ……味もしなければ匂いもしないタイプのモノだね」
「これも……普通のお菓子作りじゃ使わないですよね?」
「まぁ、そうだね」
少し苦笑いをするとその人は、溶かした『ココナッツオイル』を先ほどの『てんさい糖』と『豆乳』、そしてひとつまみの『塩』を混ぜたボウルに加えた。
「それで、『乳化』させるんだよ」
「乳化……ですか?」
これまた聞いた事のない言葉である。
「うん。油と水の様に混ざらないモノに振動を加えて混ぜ合わせるんだけど……。うーん、例えば……ドレッシングを振って混ぜる……って言えば分かりやすいかな」
「まぁ……なんとなくなら……」
この人曰く、『ココナッツオイル』は元々固まりやすく、冷やす工程のあるお菓子作りに向いているらしい。
「本当は溶かしたこのオイルを混ぜる時に、一気に入れて素早く混ぜないといけないんだよ」
「なぜ?」
「少しずつ入れると、また上手く混ざらなくなっちゃうんだよ」
「そうなんですか」
どうやら、『バター』を使って作るのとは違うらしい……なんて呑気に思いながら、袋に入ったナッツをほおばった。
「これに、『米粉』と『アーモンドプードル』を量ったモノを……。あっ、この『アーモンドプードル』は、アーモンドを粉末にしたモノで、コレを粉っぽくならなくなるまでヘラでよく混ぜる……」
全ての材料を入れ、ボウルの中身を手際よく混ぜると、その人はすぐに中身をラップに包み、そのラップを四角にまとめ、冷蔵庫の中へと入れた。
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