26人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん。これならくっつかないかな……」
どうやら『生地』の状態はいいらしく、その人は『生地』を片手に持ったまま、冷蔵庫の扉を閉めた。
そして、別の所では何やら紙の上にラップをしたモノを準備し、その上に生地を置いて麺棒で伸ばし始めた。
「それで伸ばしたら……フォークで穴を開けるんだよ。そんじゃ、コレ。ハイ」
「?」
なぜか突然その人は……僕にフォークを差し出した。
「えっ」
「ただ穴を開けるだけだから大丈夫だよ」
いや、正直そんな事を突然言われても、戸惑う。
しかし、なぜかその人の言い方は「バカにでも出来る……」なんて言われている様な気がし、僕は断りたくない気持ちになった。
「わっ、分かりました」
しょうがないので僕はその人から『フォーク』をもらい、おもむろに『生地』に穴を開け始めた。
「よし、じゃあ次はコレを焼いて冷ます……と」
「……」
すぐにその人は僕が『フォーク』で穴をあけた生地を受け取ると、ゆっくりとオーブンに入れ、『生地』を焼き始めた……。
ただ、僕は『なぜこの時、突然お菓子作り手伝わされたのか……』という事は未だに謎だ。
でも……そんな事以上にこの『お手伝い』が実は……かなり楽しかった。
◆ ◆ ◆
そうして、『生地』が焼きあがると何やら『網』の上に『紙』と『生地』を一緒に置いた。
「よし、そんじゃ冷ましている間に……」
今度は、これまた先ほど計量した材料の入った小鍋を『中火』にかけた。
最初のコメントを投稿しよう!