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でも、それにしては突然『お菓子作り』を始めたり、この話をもちかけたり……とはイマイチ分からない事が多過ぎる。
ただ本当に僕はただ『フロランタン』というお菓子を作る光景を見て、少し手伝っただけで僕自身はほぼ何もしていないに等しい。
それなのに……だ。
「もちろん、無理強いはしないよ。ただ母さんがよく動物たちを救っていた理由もなんとなく……分かった。ただ、俺は……単純に君が気に入ったんだよ」 「本当に単純な理由ですね……」
どうせ行くところもない。それに、食料も寝る所も提供してくれるのだから、ありがたい話だ。
「でも……分かりました」
正直思う所は色々あったが、せっかくの好意である。それを断るのは逆に失礼だろう。それに、もし何かあれば逃げればいい。
――逃げ足には自信がある。
「えっ……本当?」
「はい」
「そっかぁ。よかった……。あっ、俺の名前は『ヘンゼル』って言うんだ」 「僕の名前は……『マシュー』と言います」
ヘンゼルさんは相当緊張していたのか「よかった……」と言った後、一気に力が抜けたらしく椅子にもたれかかった。
「マシュー君ね。よろしく」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
お互い簡単に挨拶をした後、ヘンゼルさんはパンッと自分の膝をたたくと、すぐに早速空いていると言っていた部屋へと案内してくれた……。
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