2.パンケーキ

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 ただ、どうしてそうなったのか……  ヘンゼルさん曰く……『最初は姉さんが手伝ってくれていたんだけど、父さんが体調を崩してね。看病に姉さんが行っちゃって……でも、知らない人に入ってもらうという気にもならなくて……』と言って笑った。  ――――その結果、1人でずっと切り盛りをする……という状況になったらしい。 「さて……と」  とりあえず僕は外に出て、踏み台を使い、お店の玄関にかけられている「open《オープン》」と書かれた『札』をひっくり返し、「close《クローズ》」にした。 「おや、今日の営業は終わってしまったのか?」 「終わってしまった様だね」 「それは困ったな」  その瞬間、僕の背後(はいご)から突然声が聞こえ、僕はすぐに振り返った。 「なんでこんなに早く閉めるんだ」 「いやいや、ここは怒っても仕方ない」 「しかし、何もせずに戻るのは……」  口々に言いたい放題言っているが、どうやらこのおじさんたちが声の主らしく、お菓子を買いに来たらしい。  人数を数えてみると……全員で7人いた。  そのおじさんの内の1人は眠いのか不自然に体を前後に動かし、今にも倒れそうになっては、眠そうに目を(こす)っている。  もちろん口には出さないが、「そんなに眠いなら家で寝ていればいいのに……」とその人を見ていると、こちらも心配をしてしまう。 「おや、君はここの従業員さんかね?」 「あっ、そうです」  突然声をかけられ驚いたが、意外に普通に反応していた。 「今日の営業は終わったの?」 「そうですね。今日の販売分は全て売れてしまったので」 「そうか。それは残念だ」 「申し訳ありません」 「なんでもっと作らないんだ」 「コラコラ。そんな事言っても仕方ないだろ?」 「……」  どうも寝不足気味の人と怒りっぽい人の2人が中でも特に特徴がある。  そうかと思っていると、中には物腰柔らかく丁寧な言葉遣いをする人もいる……。でも、七人もいれば色々な人がいる。  しかし、ここまでくると誰一人として言葉を被らせることなく上手く1人ずつ話しているのを見ると、「誰かが合図を送っているのか?」と思ってしまう。
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