2.パンケーキ

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「それで、この林檎(りんご)を使ったお菓子を作って欲しいとの事ですが……」 『はい』  ヘンゼルさんがお茶を出しながら尋ねると、小人のおじさんたちは全員声を揃えて返事をした。  今度は一糸乱れず全員揃(そろ)っている……1人を除いて……。  ただ寝不足な人は、椅子に座っていながらも相変わらず頭を上下させており、たまに倒れそうになっては隣にいる人が支えている。  ちなみに、この小人のおじさんたちは全員店内の椅子に座って話をしている。これは、ヘンゼルさんが「立ち話も悪いから……」と言って案内した結果である。 「ただ……」 「ちょっと問題が……」 「問題というか……」 「トラウマ?」 「トラウマというか……」 「事件だろあれは」 「うーん」 「……」 「……」  小人たちは相変わらず、お互いの顔を見合わせながら、色々言い合っている。  でも、ありがたい事に1人ずつ話してくれるので、何を言っているのかはすぐに理解が出来る。  ただ、ここまで(かぶ)らないとかえって面白い。  僕とヘンゼルさんも顔を見合わせていたが、こちらは笑いを(こら)えるのに必死なだけだ。 「……あのー」 「どうかされましたか?」 「いえ、失礼致しました。ところで、先ほど『事件』と仰っていましたが」  気を取り直して、今の会話から疑問を一つ投げかけた。 「はい」 「実は……」 「美味しい林檎(りんご)が出来て」  しかし、返って来た答えは、僕たちの予想とは若干違っていた。 「だが、わしらだけでは食べきれない」 「そこで、この林檎(りんご)を食べて頂きたい人がいるんですけど……」 「その相手が……」  ヘンゼルさんが『その相手』という言葉を言った後、なぜか気不味(きまず)そうにおじさんたちは突然口を(つぐ)んだ
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