26人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、まさかその間に『森』が丸ごとなくなっているとは思ってもいない。まさしく『青天の霹靂』だ。
「……どうしよう」
しばらくの間は、埋めた木の実やどんぐりなどで食べ物はどうにかなる。でも、いつかは食べ物も底をついてしまうだろう。
僕は、人間の世界はよく知らないが、自然界は決して弱者に優しくない。生きる術を持たないものに対しては特にである。
――――ただ、なぜだろう。
こういう時、頭では「どうしよう」と不安に思っているにも関わらず、なぜか内心では、「なんとかなるだろう」と楽観的に思ってしまっている。
しかし、それは僕だけなのかも知れない……。
だから僕は、しばらく間「大丈夫大丈夫」と自分を誤魔化し、面倒な事を全て後回しにしてしまい、「本当にどうしよう」と悩んでしまう状況になってしまった。
「はぁ……」
でも大抵そんな事をすれば、後々で後悔するのは目に見えている。それなのに僕は学習しない。
――本当に残念なヤツである。
ただ僕は、多少の事では挫けない。
それに、なんだかんだ言って『本当にどうしようもない事』という状況は、僕が今まで生きてきた中ではほとんどない。
「……うん。あっちに行ってみよう」
お腹をすかせながらも、僕はゆっくり小さく『隣にある森』へと歩みを進めたのだった……。
最初のコメントを投稿しよう!