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「…………」
原因は『山に住む住人による火の不始末』らしい。しかも、冬は乾燥しやすく火が燃え移りやすい。
たとえ最初は小さな火で、すぐに消す事が出来たかも知れない。しかし、火というのはあっという間に燃え広がってしまう。
その結果――取り返しのつかない事になってしまった様だ。
「でも、君はなんでそんな事を聞くんだい?」
「……」
この人の質問は、ごもっともである。
「じっ、実は……」
わざわざ教えてもらっておきながら僕は黙ったまま……で、そのまま話は進まないとは思っていた。それに、隠す程の事でもない。
「ふーん……。じゃあ、君は地面で『冬眠』をしていて運よく生き残れた……という事になるのかな?」
「そういう事になるんですよね……」
確認という意味でこの人は聞いたと思うけど、そう改めて言われると……少し自信がない。
「…………」
「…………」
「ところで……」
何やら僕に尋ねようとした瞬間――――。
「ぐぅ……」
どうやら僕の腹の虫は、どんな状況だろうとお腹が空けば鳴るほどかなり素直な様だ。
「……すみません」
ただ『赤の他人』を前に鳴ってしまうと……やはり恥ずかしいモノである。
「いや、別に気にしなくていいよ。お腹鳴るって事は生きている証拠だからね」
「……」
ただでさえ俯いているのに、今の音で僕はさらに顔を上げにくくなった。
「まぁ……とりあえず、ちょっとコレでも齧ってて」
「コレ……は?」
そんな僕に向かってその人は、何か『袋』をおもむろに差し出した。
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