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「……えと、コレは?」
「うん? ああ、コレは『ナッツ』だよ。お菓子を作るときに使っているヤツだけど」
「ナッツ……ですか」
確かに、僕たち『リス』は『ナッツ』や『木の実』などを頬袋にたっぷり入れて膨らませている……という姿をよくイメージされる。
でも実は僕たち、基本的に何でも食べる『雑食』だ。
だから、僕たちがよく食べるのは主に種やナッツ、果実に芽も食べる。だけど、ほかにも、植物やキノコなども食べられるのだ。
でも、人間の周囲では、野菜を農地や庭の植物も食べるため、農作物に害を与える『害獣』とみなされる事もある。
「あっ、他のモノが良かった?」
「いっ、いえ。それよりも『待ってて』とはどういう……?」
「ああ。今から『お菓子』でも作ろうと思ってね」
「えっ、でも……」
僕たちと人間では食べるモノが全然違う。それに、下手をすれば『毒』になってしまうモノもある。
「そうだね。俺と君じゃあ違うところが多いね。例えば……生活習慣とか?」
「えっと、一応僕たちは人間と同じように昼に活動して夜は寝ています」
「へぇ、そうなんだ」
「はい。あっ、でも睡眠時間は一日平均十五時間……くらいではありますけど」
「なっ、長いね」
「巣穴の中なら周囲に警戒する必要がないので」
そう言うと、その人は「ああ、なるほどね」と何やら納得していた。どんなリアクションをされようと、僕にとってはそれが日常だ。
「あの」
「ん?」
「なんで僕にここまでしてくれるんですか? こんな、食べ物まで……」
「なんで……って聞かれても」
ふと思った事を言っただけだ。しかし、その人は「うーん」と少し悩んでいた。
「まっまぁ、困った時はお互い様って言うじゃないか」
「たっ、確かに人間の言葉でそう言うモノがあるのは知っています」
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