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「あっ、あのそもそも『フロランタン』とは一体なんでしょう?」
「……君が何を考えたのかは、この際追求はしないけど」
「……助かります」
「で、『フロランタン』の話だったよね」
「はい」
「えっと、『フロランタン』はフランスという国のお菓子で、ドイツという国では、『フロレンティーナ』と呼ばれているお菓子の事だよ」
「へぇ、元々はフランスという国のお菓子なんですか」
「うん、どちらも「フィレンツェの」という意味で……」
「? どうしました?」
突然その人は動きをピタリと止めた。
「えっと、なんだったかな……」
「えぇ。忘れたんですか」
「いや……。あっ、そうだ。確か、嫁ぐ際にイタリアから伝えた……とか 、パリの製菓職人が考案した……とか、そもそもイタリアとは何の関わりもない菓子という説もあるとか……」
「……つまり諸説ありってことですか」
「そうだね」
「……」
サラリと言われて一瞬戸惑ったが、お菓子に限らず『歴史』は今でも解明されていない事が多い。
しかも、今まで解明されていた事が違う……という事も実はある。
その理由は『記録』する物が少なかった……という事もある。ただ、どんな時代でも『漏れなく全て』を記録する……という事は出来ない。
だからこそ、こういう事態が起きるのだろう。
「それで、この『フロランタン』はクッキー生地にキャラメルでコーティングしたナッツ類を使って……」
「えっ、ナッツですか?」
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