4月

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「多分、自分で言ってるほどネガティブじゃないよ。だって、地震で壊れた校舎は巨大ロボット同士の戦いのせいだって言い換えて」 「ああ、俺にとっちゃそんなもんだ」 「常にジャージを強制した校長は、常に着物を強制って言い換えてたし。校長は別に桜吹雪出してないし。スーツの下にジャージ着てただけだし」 「いや、あの時のスーツのはだけ方は、絶対遠山の金さん意識してたって」 「男子はちょんまげにしろなんて言ってないし。全員坊主にしろとは言ったけど」 「どっちみちひでえだろ。そら生徒の反発くうわ」 「親切なポルターガイストだって、あれはいじめられてた子が腹いせに深夜に学校忍び込んで、怒りにまかせてガラス割りまくっただけだし」 「昼間にやんないだけ親切じゃねえか」 「結局、その男の子は転校しちゃって…。ポルターガイストなんて噂になってないし。君がそう言ってただけで…。でも君は親切だなと思った」 「別に。親切要素あるか?」 「いじめられてた子をかばってくれてんのかなと思った。君は表現が分かりにくいけど、意外と親切なんだよ」 「へえ。知らなかったわ」 「坂の上から『インディ・ジョーンズ』の球は落ちてきてないし。あれは体格大きい相撲部員だし」 「でっけえ相撲部員が足踏み外して転がってきたら、そりゃでっけえ球みてえなもんだろ」 「そう。君は何でも言い換える。だから分かりにくくて、よく変なこと言ってんなって顔されてるよね」 「分かりにくいことねえよ。俺ほどストレートで純粋な奴もそういねえよ」 「ははは。君ほど分かりにくい人もなかなかいないよ」 「俺はお前のほうが分からねえよ」 本当、俺は分からねえんだ、お前が何考えてんのか!
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