校庭に咲く桜の木の下で

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校庭に咲く桜の木の下で、明日卒業式を迎える俺と女がいる。 「まったくせいせいするぜ、こんなくそみてえな高校生活とおさらばできるなんてよ!」 「へえ、私は結構楽しかったけど」 俺は楽しかったとか言えねえんだよ。 「古今東西桜ソング!『桜』がタイトルに入ってる曲だ、アーティスト名も一緒にな」 「いいよ。森山直太朗の『さくら(独唱)』」 「ああ、あれは名曲だ。この曲は、桜ソングの定番だし、合唱アレンジでも良いんだよな。でええええーー。ほら似てるだろ。俺は森山直太朗の歌マネがちょっとできるんだ」 「似てない。ってか、分からんわ!はい、そっちの番」 こんなくだらねえ会話ができるのも今日でもう最後だ。そうだ、俺はそれこそ一人カラオケで森山直太朗の『さくら(独唱)』を独唱してるような奴だったよ。俺の歌を聴いてもらえる相手がいて、願ったりかなったりだ。
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