1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「宇多田ヒカルの『SAKURAドロップス』。これだろ」
「ああ、それも切ない感じで良いねー」
「サビのたーたーたーたたー たーたーたーたたー たーたー たーたー たーたーたーたーたーたたたーたたの徐々に高音になっていく感じが良いんだ」
「ああ、何となく言いたいこと分かる」
ああ、お前はこうやって俺が聞いたことにもしっかり答えてくれるんだ。お前のその返答がどれだけ嬉しいか、お前の一挙手一投足がどれだけ俺の心を弾ませてるか、お前にゃ分からねえだろうな。
春という暑いんだか寒いんだか分からねえ季節が!余計に俺の頭や心をおかしくさせてんだ、畜生が!
校庭に咲いたでっけえソメイヨシノから桜の花びらが散ってやがる。俺は桜なんて好きじゃねえし、卒業式なんてどうでもいい。
でも、今この桜の木の下で笑うお前の横顔を見ていると、もうこれで最後かと思うと、なぜか涙が出そうになるんだ。でも、俺は泣かねえから。
泣きたくても泣けねえよ、こんな学校でなんてよ。
校舎は巨大ロボ同士の戦いで半壊してる。
まだ肌寒い季節なのに、隙間風がすごくてたまったもんじゃなかった。桜の花びらが教室に入って来た時、まず最初に「寒い!」と思ったぐれえだ。マジでクソみてえな学校生活だよ、物理的にも精神的にも。
最初のコメントを投稿しよう!