校庭に咲く桜の木の下で

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「巨大ロボに破壊された環境だけどドロップアウトしなかった俺偉いわ」 「うん。大変なことも多かったね」 「思い出した。ドロップは落ちる意味。ドロップアウトは脱落。なんで飴がドロップなのかと思ってたけど、果汁の雫が落ちる様からドロップっていう名前つけたんだとお前に教えてもらったな」 「ああ、私そんなこと言ったっけ?」 「言った。俺は覚えてる」 ああ、英語の授業の時、こいつと隣の席だったことを思い出した。こいつは俺より勉強できたから、俺が何気なく質問したことがあったんだ。お前は忘れてんだろう、でも俺はしっかり覚えてんだ。 午後の太陽がまぶしい。にくいほどにまぶしいわ。また、風がいい具合に吹いて桜の花びらをどんどん散らしてくれるわけだ。桜の花びらが風に舞って散っていく様は、どんなに時代が経っても人の心をとらえるもんなんだな、と。そんなこと気にしたくもなかったのによ。 桜の花びらが木の枝から風によって飛ばされて、くるくると風の力で上や下に舞って、女の頬をかすめていく。 女の表情は寂しそうにも楽しそうにも無表情にも見える。くそが!俺は表情を読めねえタイプだから。こいつが何を考えてんのか、どう思ってんのか、さっぱり分からねえんだ。
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