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ここしか知らない
そんな事を一週間も続けただろうか。
さすがに私もおかしいと思うようになった。
毎日現実感はんぱない夢を見る。
同じ場所から始まり、同じ格好で、同じ公園で同じ人物に会う。
毎回違う会話をして、冗談を言ったり笑ったりするうちに
私の気持ちは変化してきた。
私は、セイが好きになったのだ。
セイはもしかしたら、現実世界のどこかにいるんじゃないかしら?
一週間話して分かったのは、彼は日本人であるらしいと言う事。
会える可能性大じゃないか?
多分彼だって私と同じ、
眠ればあの日時計の公園にいるっていう不思議な状態だろう。
だったら彼だって、こんな状況から抜け出したいと思って いるに違いない。
私は疑問を彼にぶつけてみた。
答えは否。
一笑に付すってこういう事を言うんだな、っていう位セイは鮮やかに笑った。
「かれんさんの言う、現実ってどこ?僕はここしか知らない。」
「じゃあここ以外の夢を見る方法教えてよ。
大体私、そんなに夢なんかみる方じゃなかったのよね」
あっさり否定され、私はムッとして言った。
「そんな事、僕だって…」
顔を背けた彼の顔は悲しそうに見えた。
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