さよなら日時計

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さよなら日時計

目が覚めると、雨が降っていた。 ゆうべは早く寝たから、まだ12時をちょっと回ったくらい。 私は泣いていた。 セイのいう事が本当なら、もう私はあの公園へは行けない。 もう一度タオルケットを引き上げて、目をつぶる。 翌朝、お母さんの声で目覚めた。夢は一つも見なかった。 私はセイを公園に一人置いてきてしまった。 暗い気持ちでリビングに行くと、テレビの中では大木が倒れている。 しかも焼け焦げて真っ黒だ。 あれ?見覚えのある光景。あの公園じゃないか。 「昨日、落雷があったんですって。公園に落ちて、大きな木が燃えたらしいよ。」 リポーターが何か喋っている。 バックに移ってるのはやはり焼け焦げのある日時計。 倒れて、柱が折れて石板の上に転がっている。 「幸い、深夜のことで人は誰もおらず、けが人もなく-」 何が「誰もおらず」だ。 ログインポイントが崩壊して、セイは、もどってこられるのだろうか。 「市では、この古い公園を今回の落雷を機に取り壊し、 新たに市民に親しんでもらえる公園を造る予定-」 なんだって!?取り壊す!? じゃあセイはどうなるのだ。 永遠に夢の中にいることになるのか。 古い公園は雑木林化していて、犯罪の温床になると言う意見もあったらしく 早々に取り壊しが始まった。 敷石は全て剥がされ、噴水は跡形もなくなり、 日時計も東西南北を書いた石板も取り外された。 木々の大半は倒され、片付けられ、きれいに整地された。 グラウンドみたいに何もなくなった時、 長い間眠っていたF校生が息を引き取った。
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