4人が本棚に入れています
本棚に追加
さよなら日時計
目が覚めると、雨が降っていた。
ゆうべは早く寝たから、まだ12時をちょっと回ったくらい。
私は泣いていた。
セイのいう事が本当なら、もう私はあの公園へは行けない。
もう一度タオルケットを引き上げて、目をつぶる。
翌朝、お母さんの声で目覚めた。夢は一つも見なかった。
私はセイを公園に一人置いてきてしまった。
暗い気持ちでリビングに行くと、テレビの中では大木が倒れている。
しかも焼け焦げて真っ黒だ。
あれ?見覚えのある光景。あの公園じゃないか。
「昨日、落雷があったんですって。公園に落ちて、大きな木が燃えたらしいよ。」
リポーターが何か喋っている。
バックに移ってるのはやはり焼け焦げのある日時計。
倒れて、柱が折れて石板の上に転がっている。
「幸い、深夜のことで人は誰もおらず、けが人もなく-」
何が「誰もおらず」だ。
ログインポイントが崩壊して、セイは、もどってこられるのだろうか。
「市では、この古い公園を今回の落雷を機に取り壊し、
新たに市民に親しんでもらえる公園を造る予定-」
なんだって!?取り壊す!?
じゃあセイはどうなるのだ。
永遠に夢の中にいることになるのか。
古い公園は雑木林化していて、犯罪の温床になると言う意見もあったらしく
早々に取り壊しが始まった。
敷石は全て剥がされ、噴水は跡形もなくなり、
日時計も東西南北を書いた石板も取り外された。
木々の大半は倒され、片付けられ、きれいに整地された。
グラウンドみたいに何もなくなった時、
長い間眠っていたF校生が息を引き取った。
最初のコメントを投稿しよう!