桜が今年も咲いている。

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私は桜が好きだ。 紅くて綺麗な桜を見ているとなんとも言えない気持ちになる。 私はあまり友達を作るのが得意ではなく、少し仲良くなった相手も1年後の春にはクラスが変わり離れ離れになってしまう。 春は嫌いだ。春は色々な物を奪っていってしまうから。そんな嫌いな春だが、一つだけ好きなところがある。それはこの街の人しか知らない一本の真っ赤な花が咲く桜の木だ。場所も場所で人があまりいないそこに来るとスッと考えが晴れ、また1年頑張ろうと思えた。 これは、中2の時にそんな桜の下で出会った青年との物語。 誰だあの人は?と桜の木下で寝ている青年を見つけた私、天野花凛はそんな青年を警戒していた。 この田舎の穴場中の穴場であるこの場所は近所の人しか知らないぐらい分かりづらい場所にあり、こんなど田舎に10何年間住み続けている私は、ここらに住んでいる人ぐらいは全員知っている。 引っ越し。なんて聞いた覚えないし、だったら誰かのお孫さん?それにしても...、行きづらい。 そもそもこの時間帯はおばあちゃんたちは朝ドラを(約30分ぐらい)、学校の生徒は弁当を、学校の先生は仮眠と、普段なら貸切で飯を食える場所なのだが、一応学校を抜け出してここに来ている私は、ここに住んでる人に見つかれば長話に巻き込まれた挙句、先生に報告されて説教されると、最悪なルートを引いてしまうのだ(経験談) 「君、そんなところいないでこっち来たら?」 「あー、はい。」 気付かない内に彼は起きていたらしく、身を乗り出したためにバレたらしい。 これは、面倒なことになったかもしれない。
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