桜の下で

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「違うと思う」 「あれ?」 「やだ。江戸崎さんも苑田さんも、面白いね」 「そーなのー。好きなだけ笑ってー」 「うちら持ち上がりだから。中等部からこんな感じだよ。頭も仲良く悪くて今日も春休みの補習だったし」 「笑えないなぁ」  と言いつつ、マイは苦笑していた。その補習も、とりあえず今日は午前中で終わり、後は帰宅するだけだ。お腹もすいたし帰ろうか、という流れになった。 「麻木さん、それ、国語の補習で使った山井先生の辞書でしょ。私正門から出るから、ついでに職員室寄っていくよ」 「え、でも」 「国語科準備室も隣だし、山井先生に渡してって、頼まれた? 生徒会室かなんかで」 「そうだけど」 「だけど麻木さん裏門でしょ。むしろ遠回りだし」  任せて、とささっと辞書をもらって、じゃあねーと手を振る。うん、と少し戸惑いを見せつつ、マイも手を振って別れた。  道すがら、ぐいぐい、と肘で突かれて。 「相変わらず~変な所でカッコいいね王子様?」 「はあ?」 「とぼけないって。このあだ名、知らないとは言わせないぜ?」 「知ってるけど……あんま好きじゃない」 「一文字違いじゃん」 「大違いだから。王子じゃないもん。お、う、り! り、だからね?」     
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