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「眠る」事は人間に必要な三大欲求の内の一つであると言う事は既にご存知かと思われるが、私にとってその「眠る」という行為は死に値するものだ。そういう体質なのである。別に睡眠欲求は無いし眠らなくても生きていけるので困りはしない。寧ろずっと起きていられるので色々と便利ではある。いつからなんて分かりはしないがきっと生まれた時からだろう。何故寝ていないのに眠れば死ぬと分かるのかといえば、それは私が生まれた意味を考えれば当たり前の事なのだ。ああでも、これは私と彼にしか分からないだろうけど。 彼というのは、私が生まれた時からずっと一緒に過ごしている人の事だ。私の中で彼は絶対でありとても大切な存在。 ある出来事から、彼は1人では眠れなくなってしまった。だから私は、彼のベッドに潜り込み一緒に寝ている。寝ていると言っても私はずっと起きているが。 朝起きれば、彼はいつも私にどんな夢を見たのかを話す。夢の中で私が只ひたすらおにぎりを食べていたとか、2人で一緒に何処かへ出かけていただとか、小高い丘の上で一緒にお昼寝をしただとか、とにかく楽しそうである。 私は傍にいるだけで彼に何かをしてあげられる訳じゃない、でも私がいる事で彼がちゃんと眠れるならばそれで良いかなと思っていたのだけど。
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