入部

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取り敢えず手が疲れたので、テーブルに飲みかけの缶を置く。 「進路の資料に自動車メーカーのパンフレットとカタログ持って来てさ、鈴木と少し話してたんだよ」 メガネくんは鈴木というのか。 「やっぱりマツモトの車カッコいいよな。品質良くて燃費も良いし」 「ただ、最近のは好みのデザインが少ないよな」 「デザインの好みなら四菱だな、俺は」 「頑丈さは、外国車の方が高いの多いよな」 「でも俺は丸いフォルムの国産車のほうが好き」 「車の良さは私も語り合いたいけど、今日は紹介したい人が居ます」 「うん、だよね。この部長に教えてくれる?」 二人とも目をキラキラさせて語り合うのをピタリと止めて俺に視線を集中させる。 あまり見られるの慣れてないんだけどな。 「室伏勝己です。コーラ二本につられて来ました」 「めっちゃ素直だな」 「良いことじゃん。やる気いっぱいの新入部員に拍手ー!」 二人は何が楽しいのか元気いっぱいに、水無瀬はおざなりに拍手をする。 こういう空気は周りで見る分には嫌いじゃないけど、自分がされるのは苦手だ。 「歓迎されて心苦しいけど、コーラが目当てだっただけなんで、入部届け書いて帰ります」 「え、マジで!?」 「コーラ二本でやる気出したって話じゃないの!?」     
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