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 この国では眠ることは禁じられている。  理由は貧困問題だとか、労働力不足だとか、そんなことだったか。  むかしむかし、この国を統べる王は突然そんな暴論を吐き出し、俺達は一夜にして日々の楽しみである睡眠を奪われた。 「抑制チップと疲労軽減チップをくれ。2ヶ月分」  睡眠が取れなくなった以上、その代わりを何かで埋めなければならない。  俺達の身体は特別性で正規の手続きを踏んで役所に行けば様々な恩恵が受けられる。  例えば抑制チップ。正式名称は更に長い単語の羅列が続くのだが、簡潔に言い換えればつまり睡魔を吹き飛ばしてくれる作用を働かせてくれる。  これに関しては今の世界では必需品であり、この国の人間で使ってない奴はいない。これがなければどれだけ意思の強い人間でもすぐに眠りの誘惑に負けてしまう。  他にも疲労軽減チップ、自動記憶整理チップ、精神安定チップなど。自分の身体に合わせて様々な抗生物質を身体に埋め込むのが現代の主流だ。  それでも違法と呼ばれるものも存在する。  国が管理していない違法チップ。   その中でも代表的なものが、睡眠を誘発するものや一種の薬物作用を脳に見せる危険なもの。     
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