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 睡眠を取る行為は犯罪なのだ。一時の快楽を得る行為は危険ドラッグを服用するのと変わりはない。    だが、本心から興味が無いと言えば嘘になる。  今までの仕事で捕まえてきた何人もの犯罪者達が恋い焦がれた睡眠という存在に、何の関心も懐いていないほど俺は心を失ったわけではない。  感情抑制チップの効果が調度切れてきたのも原因の1つだったのだろうが、その日その瞬間、俺は自身の職業を考えてありえないことに、犯罪に手を出した。    睡眠誘発チップ。この国では禁止されている大罪に俺は手を出したのだ。    気が付けば泥濘の中に俺は佇んでいる。  暖かく、優しく頬を包み込んでくれる毛布の柔らかさに体が沈み、やがて意識は肉体という枷を脱ぎ捨てて遥か空へと駆け上がっていった。  宙に浮かぶような感覚。  果てしなく広がる闇の中にいるようで、何処か閉鎖的な穏やかな空間。  安心する。そう、この感覚は安堵だ。  久しく感じていなかった本心からの安らぎを感じている。  俺は今何処に居るのだろう。  訓練学校に在籍していた頃に受けていた授業で教師が言うことには、人は眠ると【夢】というものを視るらしい。  夢の正体は不確かで、様々な憶測が立てられているものの誰も確信には至っていないのだという。     
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