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 確かにこんな奇妙な感覚の正体を誰が掴めるというのか。  暗闇の中、歩いていると俺は大勢の人を視た。  おかしな話だが、的確に表現すると大勢の人を視ている俺を第三者の視点から観ていたのだ。  奇妙な感覚だ。しかし嫌悪すべきものでもない。  大勢の人々が同じ方向へと歩き、やがて大きな光に呑まれて消えていく。  俺が観ている俺もまた、その大勢の中の一部と化して光の中へと消えていこうとする。  何故だが止めなければいけないと危機感に襲われた俺は手を伸ばそうとしたが、その寸前で此方に振り返った俺と目が合った。  俺は、俺に向かって何かを伝えようと唇を動かすと、そのまま踵を返して光の中へと消えていった。    漠然とした意識の中、目を覚ます。  眠気、頭痛、全身の怠け。様々な身体的精神的疲労とも呼べる感覚に襲われた俺の身体を強制的に覚醒させたのは、調度耳元に置いていた通信機が鳴り響く音だった。  通信機の画面表示を確認すると登録された上司の名前が表示されており、頭痛を感じながらも通信機を耳に傾ける。 「はい」 『……? なんだ、お前にしては随分と気怠げな声だな。もしや金欠でチップをケチったのか?』 「まぁ……そんなところです」     
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