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二つの事故と二つの遺言書
2019年、3月3日
私は今有り得ない場所にいる。
建物全体はまるでアメリカのホワイトハウスのような屋敷。
その中の広い一室、長く大きなテーブルに見知らぬ人たちに囲まれ冷たい視線。
物言わぬ敵意の空気に押され体を固く強張らせ真ん中に座らされている。
私が何故こんな場に居るのか...その始まりは数日前の火事から始まった。
2月25日
私は大学の卒業旅行と称して親友の都子(通称トッコ)と沖縄へ来ていた。
「別れて正解だったのよ!桃花以外に女が五人もいた男なんて!!」
「初めての彼氏があんな人だったなんて...すっごいムカつく!!」
「ゲスにも程があるわよ!挙句に“桃花は一番だから”なんて!一番か二番かとか順番の問題じゃないっつうの!」
「うっ...思い出したらまたヘコんできた...トッコもうこの話止めよう?」
「そうね!忘れるための卒業旅行でもあるしね!なんだったらこっちでいい男でも見つけるとか?」
「いいよ...今は誰とも付き合いたくないし...」
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