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「チンスコウも買お、あと紅芋タルトも美味しそう!」
あれもこれもと箱を掴み、母一人のためにバイトで貯めたお金で沢山のお土産を買おうとしていた。
「ん?電話?トッコかな?」
ポケットに入れていた携帯が鳴り手に取ると、知らない番号が表示されていた。
「もしもし?」
『野垣月代さんの娘さん、野垣桃花さんの携帯番号で合っていますでしょうか?』
「あ、はい。私が野垣桃花ですが...どちら様ですか?」
『私、Sa県警の者ですが...』
「えっ...」
突然の警察からの電話、それは...母が亡くなったことを報せる一報だった。
翌日早朝の便で私はトッコと帰った。
未だ信じられないその話を確かめに行くため急いで地元警察に向かう。
「本当にお母さんが亡くなったの?何かのドッキリとか変な詐欺とかじゃ?」
「分かんない...でも行かなきゃ...」
「火事って...ことは...」
「...」
母は私が沖縄に旅立った翌日に...アパート全焼で焼け死んだ。
出掛ける前の見送りの笑顔が...母との最後の別れになってしまった。
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