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遺体の確認は出来なかった。
“判別は出来ないかと”と刑事さんに言われた。
焼けたアパートの写真を見せられ、住人の生存確認が取れなかったのが母だけだったことからその焼死体が母だろうと思われた。
そして唯一首に掛けられたペンダントだけが燃え残り...それが母だという証になった。
トッコの胸でどれだけ泣いたか...。
母を失った今私に家族は一人も居なくなってしまった。
『残っている遺品はこのペンダントだけとなります』
若い刑事に母の形見を渡され茫然と見つめる。
白金の鎖は形を歪めていたが、その先に付いている鍵型のペンダントトップは美しい輝きを残したままだった。
生前母がそれを見つめ幸せそうに笑っていたのを何度も見たことがある。
“桃花に素敵な人が出来た時これをあげるからね”と言ってくれてた。
なのに...こんな形で受け取ることになるなんて...。
「お母さん...」
『とても高級なプラチナのようで、アパート全焼の中でも残ったことが奇跡かと...』
「えっ...これプラチナなんですか?」
(お母さんがそんな高級な物持ってたなんて意外...)
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