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「社長!?葬儀の延期とはどういうことですか?!」
正孝さんの連絡を受け駆け込んで来たのは珠希さんだった。
「さっきまで刑事が来ていて...父の事故は事件かもしれないと。だから遺体の引渡しはまだ先だと」
「事故ではなく事件?!どうして?」
「廣瀬、ヘリの操縦者の身元はどこまで把握している?」
「ヘリの...久保田さんのことですか?」
「うむ」
「ワタシの知る限りでは...歳は41歳で元自衛隊に所属していた操縦のプロくらいとしか...」
「わたしの知るところと変わりないな...。彼に持病もしくは常薬していたものは?」
「そこまでワタシは存じません...」
「そうか、下がっていい」
「はい...」
状況を把握し切れないからか珠希さんは少し名残惜しそうにダイニングから出て行く。
また五人になり私たちの空気は重くなっていた。
「オヤジが殺された...もしかしてその久保田ってヤツに恨まれてたんじゃないの?」
いきなり口を開いたかと思えば物騒な発想を言ったのは創介さんだった。
「あるわけないだろ?彼の体内から微量だが睡眠薬が出たっていうんだぞ?!」
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