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「開いてるなら見るだけ...」
そっと中へ入り小声でお邪魔しますと言って覗く。
「わぁー可愛い!」
それは外見への印象を裏切らず内装も水色に統一され可愛かった。
白いテーブル、白いソファー、白いシーツのベットはお姫様仕様。
食器棚の食器も全て白で、全てが眩しい。
壁の水色が何だか海の中に居るように思わせ少し涼しく感じた。
「すぐにでも住めそう!なのに奥様の物だから誰も使ってないんでしょ?でも全てが整えられてるし花まで飾ってある...」
テーブルの真ん中に大きな花瓶
その中には奥様が好きだったらしいカサブランカが大輪を咲かせていた。
「毎日誰かが掃除に来てるんだ...鈴木さんだって言ってたっけ...」
洋次君の言葉を思い出し、使う主が居なくなっても生前と同じように維持する意味が理解出来なかった。
「何故ここに居る!!」
「キャッ!!」
いきなり怒鳴られ悲鳴と共に振り返ると、青筋立てた正孝さんが立っていた。
「勝手に入るな!出て行け!」
「ごめんなさい!少し見るくらい良いかと思って...」
「いいから出て行け!」
「はい!!」
慌て彼の横を抜けようとしたら
「待て!」
「えっ!?」
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