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(何?!出て行けって言ったり待てって言ったり?!)
突然呼び止められ彼の次の言葉を待つ。
「少し二人で話をしないか?」
「話...?」
「結婚についてだ」
「...!」
(いきなり?!)
今私は何故か正孝さんと二人きり
亡くなった奥様の離れ家で向き合い彼の入れたお茶を飲んでいる。
(自ら入れてくれた...意外)
人を顎でこき使い高慢ちきそうな彼が私の分まで入れてくれるなど予想も付かずカップを見つめる。
ましてや私のこと相続するための一条件くらいにしか思っていなさそうな人からの誘いが何より怖い。
話す内容が正しく“結婚”だというし...。
「あのぅ...話って?」
「わたしを選んで欲しい、今すぐに」
「えっ...」
「大桜寺の基盤のホテル業は全てわたしが担っていると言っても過言ではない。
それに長男だしこの家を継ぐのは当然といえよう。
だとしたら君もわたしの元に嫁ぐのが筋では?」
「諒さんもリゾートホテルをって...」
「諒のは季節に左右される。ハワイやシンガポール、フランスのどれも有名ホテルには及ばない」
「でも...一年の猶予があるのに...」
「一年も無駄だと言ってるんだ」
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