長い一日②

11/39
前へ
/817ページ
次へ
「まるで酷い恋愛しかしてこなかったようなセリフだな?」 「いけませんか?」 「いや、いけなくはない。そういうわたしもろくに女を愛した覚えがないからな」 「何故...ですか?」 (ナルシストだから?自己中だから?) 「女は...美しさの裏にいろんな顔を持っているからだ」 「いろんな顔を?騙されたことがあるから...とか?」 「騙しや詐欺くらいなら可愛いものかもな...」 (この人は何を見てきたのだろうか?もしや女性不信に陥るようなことでも?) 静かにカップに口付けお茶を飲む姿がどこか切なげに見えた。 この数時間見てきた正孝さんという人物像の印象が少し変わる。 ナルシストで自己中なのは確かだろうが、一応人間らしい傷みも味わったことがある人なのだと。 「ならわたしの何が知りたい?」 「えっ?」 「わたしという人物を知らなきゃ好きになって貰えないんだろ?」 (相続したいばっかだから...) 前言撤回したくなった。 「では聞きます。一つ、好きな食べ物と嫌いな食べ物。二つ、好きな動物と嫌いな動物、三つ、得意な事と苦手な事。以上!」 「まるで子供の質問だな...」 .
/817ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加