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「まるで酷い恋愛しかしてこなかったようなセリフだな?」
「いけませんか?」
「いや、いけなくはない。そういうわたしもろくに女を愛した覚えがないからな」
「何故...ですか?」
(ナルシストだから?自己中だから?)
「女は...美しさの裏にいろんな顔を持っているからだ」
「いろんな顔を?騙されたことがあるから...とか?」
「騙しや詐欺くらいなら可愛いものかもな...」
(この人は何を見てきたのだろうか?もしや女性不信に陥るようなことでも?)
静かにカップに口付けお茶を飲む姿がどこか切なげに見えた。
この数時間見てきた正孝さんという人物像の印象が少し変わる。
ナルシストで自己中なのは確かだろうが、一応人間らしい傷みも味わったことがある人なのだと。
「ならわたしの何が知りたい?」
「えっ?」
「わたしという人物を知らなきゃ好きになって貰えないんだろ?」
(相続したいばっかだから...)
前言撤回したくなった。
「では聞きます。一つ、好きな食べ物と嫌いな食べ物。二つ、好きな動物と嫌いな動物、三つ、得意な事と苦手な事。以上!」
「まるで子供の質問だな...」
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