紅魔法雑貨店

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 商店街を、ルミと手を繋いで歩く。  そういえば、昔はお姉ちゃんとよく手を繋いで商店街を歩いたっけ…。  茜は小さい頃、なかなかの方向音痴だった。放っておくといつの間にか迷子になるので、いつも5つ年上の姉が手を繋いで歩いてくれていたのだ。  懐かしいな。最近は思い出すことも無かったけど。  茜がしんみりしていると、ルミが心配そうに顔を覗き込んできた。 「お姉ちゃん、どうしたの?」 「あ、ううん。何でもないんだよ。お姉ちゃんもね、昔ルミちゃんみたいに手を繋いでもらって、ここを歩いたなーって思い出してたの」  どうしてもコロッケが食べたいと駄々をこねたり、お菓子を買ってほしいと駄々をこねたり。それが欲しいというよりは、姉に甘えたいという気持ちから、いつも迷惑をかけていたような気がする。  お姉ちゃん、今更だけどごめんね。  茜は心の中で姉に謝罪した。 「そんなことより、どうやってこいつの母親を探すんだ。こいつが公園に来てから、もうけっこう経ってるんだがな」  ごんたが2人の隣を歩きながら言う。 「うーん、ルミちゃんのお母さんどうやって探すのがいいかなぁ」 「お、ちょうどいいところに。あいつに聞いてみたらどうだ」  ごんたが前足で指した先には、商店街をのんびりと歩く亀がいた。 「…え、何で亀がいるの。こんなところに」 「お姉ちゃん、あの亀さんは、お花屋さんの看板亀なんだって、お母さんが言ってたよ」  何だろう。看板亀というのは。しかし、確かに亀をよく見ると、背中に『フローリスト田中をよろしく』という小さなチラシを載せていた。どうやら宣伝活動中のようである。 「なるほど。確かに看板亀さんだったら、商店街のことに詳しいかもしれないよね。ちょっと聞いてみよう」  茜はルミに、少しだけそこで待っててくれるよう言うと、のんびり歩く亀に近づいて行った。
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