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目的のマンションに着き、船越が通報した住民へ聞き込みを開始する。梶原はタブレットを片手に現地の様子を先に調べていた。
三階建てのマンションで、鉄筋コンクリート造り。ドアはオートロックになっており、屋根にはソーラーパネルが取り付けてある、そこまで古くなさそうな建物だった。
船越は聞き込みが終わり、梶原に合流しながら実際にどうなっているかを訪ねる。
「あーいますね。ホントに窓にピッタリくっついてずっと中覗き込んでるや」
梶原は片方の手でタブレットを持ち、通報のあったものを補足しながら、自分の腕時計型のウェアラブル端末の表示を見ながら何やら調べている。
ウェアラブル端末とは身に着けるコンピュータのことで、腕時計型以外にもヘッドマウントディスプレイのような物など、様々なものがある。色々な機能がついており、梶原の腕時計型の物は他の様々な機器と連動している。
タブレットに写し出されていたものは人だ。ただし、タブレットやスマートフォンのレンズを通さなければ見えない。肉眼では見えないその人物は、いわゆる霊体だった。
「女性の霊みたいですね。様子や周囲の温度を確認してみたところ、丙種みたいです」
「そう。じゃあ直接的な害はなさそうね。良かった」
梶原の返答に船越はすっと胸をなでおろす。安心したという感じだ。
「でもどう対処しましょうか? 住人から通報があった以上、害はないからほっといてくれと言っても納得してくれるかどうか……通報してきた人はどうでしたか?」
「んー40代くらいの女性なんだけど、気味悪いから早く処理してくれって一点張りだったわね。どうしようかしら。強制的に除去することも出来るけど」
『除去する』とはこの場から消すこと。霊の意思に関係なく除霊するということだ。
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