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 なのに自分で壊してしまった。お酒の所為にして、その時は爆発しそうなくらいドキドキした、すごく痛かったけど我慢出来た、彼の息がかかるたび、彼の手が掴むたび、彼の舌が触れるたび、身体がビクンとなった。彼に抱きしめられて震えが止まらなかった。幸せだった。朝まで何度もキスをしてくれた、温かく柔らかい唇と舌先にとろけそうだった。  それなのに  それなのに私は無かったことにしたのだ。彼からの電話に出ずに普通にバイトに出勤した。いつも通りに振る舞った。あからさまな私の態度に彼もどうしていいかわからず、困った顔をしていた。ちゃんと話しをしようと言う彼を無視して普通に振る舞った。  そうするうちに彼も諦めたのか私に合わせて何も無かったかのように振る舞ってくれだした。  そんなはずないのに。  私はひどい女なのだ。 「 店長 お弁当一緒に食べて帰ってもいいです 」 「 ああいいぞ じゃあ味噌汁を作ってやろう 」 「 えェェェッ また廃棄商品汁ですか 食べれるやつにして下さいね 」 「 この前のプリンは豆腐みたいでいけたじゃないか 」 「 いやいや 甘いのはやめて下さい プリンはデザートで別に食べたいです 」  その夜は閉店後にバックルームで廃棄のお弁当と店長の作った廃棄商品汁を2人でお喋りしながら食べた。閉店までバイトした時は徒歩15分ほどの駅前のワンルームマンションまで店長がいつも送ってくれる。  1月の深夜の突き刺すような寒さにほんの少しだけ肩を寄せて歩いた。  これでいいんだ。私は私に言い聞かせた。     
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