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「 幽霊を見たんです 」  男はそう言ってコーヒーカップに口をつけた。 「 ほう 何処でですか 」 「 登山道ですれ違いました 登山道と言ってもそんなに奥深い山ではありません ハイキングコースみたいな感じです 小中学校の遠足などにも使われているようです 」 「 サヤさん私パスしていいですか 」  同席していた若く可愛いらしい女性が年長の女性に訴える。 「 俺も出来ればパスしたいっス 班長1人で聞いて下さいよ 」  もう1人の同席者の男性も若い女性に賛同する。 「 何言ってるんだお前たち 私1人で聞いたら怖いだろう 」 「 私は3人で聞いても怖いですよ 」 「 そもそもオカルト雑誌の編集者が幽霊を怖がってどうする 」  ここは東京都内のオフィスビルの一角にある オカルト雑誌百目奇譚(ひゃくめきたん)の編集部である。応接用ソファで1人の男性から話しを聞いているのは副編集長兼記者である三刀小夜(みとうさや)とカメラマンの海乃大洋(うみのたいよう) そしてアルバイトの鳥迫月夜(とりさこつくよ)の3人だった。     
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