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第一章:出会い
ふたりの出会いは、あるイベントだった。
毎年ゴールデンウィークに開催されるそのイベントでは宏次と優奈、ふたりにとっての立場は主催者と参加者。
優奈は友人に誘われて、宏次が主催するイベントに雑貨を売るショップを出店させてもらった。
「はじめまして。優奈です」
と、ショップ名と住所、電話番号、メールアドレスと名前だけを印刷した名刺を宏次に差し出した。優奈は自分の苗字が大嫌いだった。
宏次は自分の会社名、姓名の入った名刺を差し出し
「やぁ、こちらこそ。どうぞ気楽に楽しんでいってください。
あっ、お願いがひとつだけあります。このイベントはお客さまに楽しんでもらうため
僕が企画したものです。そこだけは注意してもらえますか?」
「あ、はい。わかりました」
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